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こんな時に、大好きなキャラクターに目を奪われるなんてどうかしてると思ったけど、この衝動は止められなかった。
気がつくと、コイン口に100円玉を2枚投入していた。
500円だと三回出来るみたいだけど、お財布の小銭入れにはちょうど200円しか入っていなかった。
右と縦のボタンを交互に押して、横からガラスのケースに張り付いて一生懸命頑張る。
ストラップというものは、ワッカに金具を上手いこと嵌め込めたら取れるのだろうか?
なんて思ってるうちに、すぐに一回戦終了。
やっぱり不器用な私。
買った方が早い気もするけど、限定ストラップがどうしても欲しい。
けどすぐにトイレから出てくる彼の姿を発見して、逃げるようにゲーセンから飛び出した。
荒い息を整えて何事もなかったように、自販機の横に待機する。
今まで必死にクレーンゲームで遊んでいた私を嘲笑うかのように、遠くの空にぼんやり浮かんでいる月が私を見下ろしていた。
……何やってんだろう。
そう思ってたら、すぐに出入り口から出てきた彼。
「さてと。帰りましょうか?」
そう言われて軽く頷いた。
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