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“いつの間に、獲ってくれたの?”
その言葉を言わずして彼と別れた私。
電車のポールに身を寄せて、そのストラップを眺めていたら携帯がピカリと光った。
“メール受信中”
その文字に、恐る恐る画面をスクロールさせると彼からメールが届いた。
ご親切にちゃんと登録までされていて、驚いた。
――――――――――
そのストラップ、可愛いでしょ?
お姉さんも意外と可愛いところあるんですね。
あ、赤外線で登録したんで、いつでも電話くださいね!
――――――――――
彼からのメールを読むと、すぐに返信ボタンをクリック。
けど、その画面が作成されることはなかった。
妹の彼との……メールや電話のやり取りなんてありえない。
これ以上、泥沼にはまってどうするっていうの?
これ以上、大切な妹を傷つけてどうするっていうの?
……暫くして最寄り駅に到着。
呆然となりながら、何かに後押しをされるように電車から降りた。
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