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何故か朝から機嫌のいい彼女に、戸惑いが隠せなくなる私。
絶対昨日のことを、問いつめられると思っていたから……
それに、料理をするのが大嫌いだと言っていた彼女。
……なのに、今更料理に目覚めたのかしら……?
“嵐の前の静けさ” という言葉があるのなら、今まさにこの瞬間なのかもしれない。
私は彼女に言われたとおり、ダイニングの椅子に腰を下ろした。
するとすぐテーブルに並べられた“朝ごはん”。
お世辞にも美味しそうとは思えない、オムレツとサラダ。
フルーツに食パンが2枚。
彼女はヘルシーに拘っているのか、飲み物は通販で買った青汁が用意された。
朝食の準備が全て終わると、正面に座ってきた彼女。
……やっぱり彼女の目を見ることが出来ない。
“逃げ出したい”
そんな言葉が脳裏に浮かんでくるほど、この気まずい雰囲気に耐えられなくなっていた。
「美味しいかなぁ~?」
「……うん、美味しいわよ」
彼女の言葉で、フォークを握った手を動かした。
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