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「前も思ったんですけど、お姉さんの手って小っちゃいですよね?」
「……それって、指が短いってことかしら?」
痛いところをつかれた私は、むうっと頬を膨らます。
子供みたいなこの手に、少しコンプレックスがあるのだ。
「そういう意味じゃないですよ! ただ“可愛いな” って思っただけです。オレの手、バスケしてるせいか、デカいでしょ?」
「そうかしら? 桐原君の手って普通ぐらいじゃない? 木綿先輩の方がずっと大きいわよ。それよりとても綺麗な手をしていると思うけど?」
「それって、手ぇだけですか?」
彼は何故か後ろ向きに歩きながら、無邪気にそう言ってくる。
“手”だけじゃなく、彼の顔もお人形さんのように綺麗だ。
女の私でも負けそうなぐらいに綺麗すぎて、羨ましい。
“王子様” という言葉があるのなら、彼にピッタリな気がする。
でも悔しいから言ってあげない。
知りたいことだってもっとあるけど聞いてあげない。
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