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「軽蔑したろ?」
「そんな……」
する訳がない。
だって、木綿先輩だって十分苦しんできたのだから。
「だから俺は、幸せになっちゃいけないんだ! あの子が笑顔を取り戻すまで、幸せになっちゃいけないんだよ」
「……木綿先輩」
「理香、だから今は理香に何もしてやれない。けど……その時が来たらこんな俺でも受け入れてほしい」
……その真剣な眼差し。
嘘偽りなくそう言ってくる瞳。
ここでNOと答えたら、今度は木綿先輩が自殺をしてしまうかもしれない。
そう思うと私はゆっくりと首を傾けて、頷くしかなかった。
心のどこかにいる、彼の存在を隠して……
木綿先輩を……励ますことが、最善の方法のような気がしてたんだ―――。
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