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「もちろん勉強だってちゃんとしてますよ。たまに寝てますけど……こっちが友達の机です。コイツはものすごく面白い奴なんですよ――」
その言葉を最後に、彼の動きが止まった。
綺麗な瞳はある一点を見つめている。
……そう私の姿を見ているんだ。
それはきっと、私の目頭に宿った雫を目にしたからだろう……。
「――お姉さん?」
「今日はよく喋るのね……」
教室の窓からは夕日が差し込んでくる。
そのまま驚いたような瞳とぶつかって、彼が一歩前へ足を動かした。
……条件反射で、私は後方へ下がる。
すると再び彼が私との距離を縮めた。
互いの視線は絡んだまま、そこは一歩も譲らない。
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