第1話

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「……ん、ぅ」 背中をするりと撫でられる感触に目を開けると、思いの外間近に譲の顔があった。 薄闇にぼやける、体の線。 これ、夢? なんて。 夢か現か確かめるように、そっと頬に触れてみる。 「……っ、ん…」 咲良が目覚める前から起きていたのか、瞬間きつく抱き寄せられ少し厚めの唇が咲良のそれに重なり、蹂躙しだす。 「…ぁ、んっ……起きて、た……んうっ、」 クスクス笑いながらうつろな目を譲がのぞき込んだ。 「……もう一回、いい?」 「……え、あっ……」 咲良が頷くより早く、ひたりと熱い塊があてがわれる。 「……だめ?」 訊かないで、解ってるくせに。 咲良は、答える代わりに、ゆっくりと譲に唇を寄せていった。
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