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その声音は、ゲートの魂を揺さぶるのに充分すぎる威力を誇った。同時に、どこか懐かしさを感じさせた。
「久しぶりだな……ゲートちゃん」
「……レイ……!」
粉塵が舞い散る空間に、強い風が吹き抜ける。誰がやったのかなど判別も出来ないが、黒髪の英雄はそこに存在した。
戦争中と比較して幾分か短くなった黒髪。それを、さらりとかきあげる仕草が絵になった。
しかし、だからといってゲートの殺気が緩む事はない。あの日、あの時、青い短剣を突き立てて、過去の自分と決別しても、レイとの関係は簡単には変えれなかった。
数秒の沈黙。
この場に現れたスタージャの第一位が一体何をするのか、と全ての最強が見守る。だが、
「……貴様に今日は構っている暇はない。邪魔をするなら、消えてもらうぞ」最初にゲートが吐き捨て、
「『喜笑』を守るというのなら、フォーリス家として命令を下しますが?」ライトもそれに続けた。
最後に、「俺は、お前のせいで税金地獄に追われてるんだから……この場で決着つけてやってもいいんだぜ?」スーが苛立ちも隠さず、レイへと問いかけていく。
ドラグを抜いた中での、世界最強レベルが五人。それが集まれば、息を吸うこともままならないくらいの緊張を生み出す。
いや、後、一人。最後の役者が、そろそろと逃げ出そうとする『喜笑』を捉えた。
「テメエェェェェェェェッッッッ!! 人様の弁当……何、食っとんじゃああああ!!!!」
沈黙と緊迫を軽々と破ったのは、最強の肉体を持つ青年。その場にいた全員に衝撃が走り、誰もが耳を塞ぐ。
中でも、素の肉体面では最弱のレイは吹き飛ばされてしまった。それでも、瞬時の判断でチートの能力を使い、立て直す。
だが、レイを襲ったのは音の衝撃だけではない。続けざまに、『喜笑』と共に飲み込んだのは、小さな島を消し飛ばす威力を持つ拳圧。
「おいおいw」
「ゴバァ」
完全に無効化したレイはともかくとして、『喜笑』は高らかに吹き飛ばされる。無論、この攻撃をした男の正体など語るまでもなく。
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