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遠い遠い昔の話。人間が住む世界で、ずっと昔から伝わってきたこんな話がある。
──昔、昔、とてもとても強い悪魔がいました。その悪魔はとてもとても強かったので、沢山の神様から恐れられていました。
その悪魔は、神様の夢や希望、それだけでなく自分が現実にいるという認識すらも食べる怖い悪魔でした。
これでは神様も立ち向かう事ができません。ただただ逃げ出す事しか出来ません。そうしてる内に、悪魔は一人ぼっちになってしまいました。
そんなある日、悪魔は言いました。泣きながら、こう言いました。
「お腹が空いた。僕はただご飯を食べてるだけなのに、何でみんなは逃げてくの? お腹が空いたよぉ」
そう言って、悪魔はずっとずっと泣いていました。そんな悪魔を可哀想に思ったのか、ある日、一番偉い神様が悪魔の前に現れました。
「君を殺してしまうのは可哀想だ。そんなにお腹が減って寂しいというなら、私が封印してあげよう。そして、悪い神様を沢山捕まえた時、君の封印を解いて食べさせてあげよう」
悪魔はそれを了承しました。涙を流して感謝しました。
こうして、今も悪魔は待ち続けます。一番偉い神様が作った街で、今日も眠り続けています。
────めでたしめでたし。
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