笑顔の独り言を聞いた転生者は。

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微笑を魅せ、肉塊を踏みにじる糸目の青年。だが、いくら巨大なハンマーで圧死させたとしても、血肉が完全に消滅したわけでない。 ズルズルゾリゾリと。不快な音をたてながら、映像を巻き戻しにしていくように、少年だった物は再生していった。 もしも、このまま頭などが再生していた場合、青年はニコニコと笑いながらハンマーを振り下ろし続けただろう。故に、肉塊が最初に再生させたのは──── 「っつ、痛……って、腕? まさか、腕だけを再生させるとは……気味が悪い。いや、正直に言おう……キモイ……」 「……くはは……はは、そりゃあ悪かったね」 『喜笑』の言葉通り、少年は腕を最初に再生させていた。ついでとばかりに、敵の足首に深々と最後のペンを突き刺しながら。 しかし、所詮はペン。威力は精々驚かせるくらいだ。少年の全身が再生するくらいの時間は稼げるくらいの。 ──んー、余裕だな。 『喜笑』はその再生を目視していても、大して危惧を覚えない。何しろ、相対する少年の戦闘力はスタージャで門前払いされるくらいだ。 それに一度は殺されたというのも可笑しな話だが、事実なのはしょうがない。特異な再生能力も、再生だけを見れば自分よりも遥かに劣る。 ならば、このまま消耗戦になろうとも、負ける道理がなかった。少年の墓はどんなモノにしてやろうか──と、戦いの最中、笑顔が考えた時。 「…………ハァ」 ゾワリ、と。 ゾワゾワザワザワ──背筋に冷たいものが走り抜けた。『喜笑』はこの感覚を知っている。この恐怖の種類を知っている。 肌という肌が粟立ち、糸目が静かに見開かれた。これは、どこか死を想像させる恐怖。一番最近感じたのは、先刻の悪魔達に吹き飛ばされた時だが──── ──これは、マジで、不味いんじゃ。俺と同じ、そう、俺と同じ、世界の理から外れたような……違う、まさか。攻撃だけなら、俺を凌駕……。 そして。 ──ドラグ 空間が崩壊した。
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