笑顔が歪み弱者が嗤う

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「星落とし? おま、星落としって、それは二番煎じなんじゃないか? 能力の被りは大変よろしくない……いくらあの軽い男の影がスタージャの中じゃ薄いと言っても、それは奴に対しての冒涜なんじゃないのか?」 「……?」 ミコトは『喜笑』の言葉の意味が分からないとばかりに首を傾げる。次いで、顔に浮かぶのは少しばかりの虚無。 世界なんて案外呆気なく終わる物だと。 自分の呪いの様な歪みの力は、誰も彼も殺してしまうというような表情。 しかし、 「……ふん」 星の影がいよいよ全てを覆い尽くす。その瞬間、笑顔が嗤った。 ミコトへと向けての嘲笑。嘲笑うかのような凶悪な笑み。 「二番煎じ……とは言ったがな。確かにそうだ……スタージャの十傑には誰もが世界を終わらせる力がある……まぁ、俺の持つ物もそれだ……それはクソガキ。いや、少年どうやらお前にもあるのだろう……俺と似て非なる力が」 「……僕なんて力など何一つ持っていないさ」 『喜笑』の言葉にミコトは力なく答える。 確かに力とは、完璧にコントロール下において力といえるのだろう。 ならば、ミコトの持つ力は力とは言えない。呪いでもなく、それはただの不発弾だ。少年はその不発弾を恐る恐る敵へと投げつけているだけ。 何時、その不発弾が自分の所で爆発するのかも分からない恐怖を抱えたまま。 そんな心境を知ってか知らずか、糸目は笑う。何が楽しいのか、何が喜ばしいのかも分からない笑顔で。 「なら、力にしてみろ。まぁ、実際の所、俺達のような規格外の存在は、世界を終わらせる力を持った存在は……死んだ方がマシかもしれんな。癪な話だ……そして滑稽だ……だが、俺は生きるぞ? これからもな。そう、奴に娘さんを下さいと了承を得るまでな……ククク」 肩をクツクツと揺らす『喜笑』。そんな糸目を見て、ミコトはようやく気付く。 この青年と自分の何が違うのかという事を。似たような能力を持ちながらも、何故ここまで人生の明暗が分かれたのかという事を。 ミコトは不幸で、『喜笑』は不幸じゃない。そう思わせてくれる位の存在に出会えたか否かが、彼らを分けたのだ。 「それにな、その前にもやらなきゃいけない事が山ほどある」 「やるべき事……?」
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