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駅はもう目の前。
「ごちそうさまでした。失礼します」
一応丁寧にお礼を言って、クルリと踵を返して駅へ向かう。
「送るよ」
駅に向かっていたはずが、腕を掴まれて反対方向に引き摺られていく。
「結構です。まだ電車もありますから」
まだ時刻は8時、さすがに空は暗いけど心配されるほど遅い時間じゃない。
逆に送ってもらう方が危険な気さえする。
「普通女性は送っていくもんだろ?」
いたって普通に呟く雅樹さんに戸惑う。
お金持ちに違いないと思ってはいたけど、なんだか次元の違う人みたいに見えた。
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