髭の恋人 Ⅰ

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店長らしき人物も現れて、謝ると床のガラスを片付けていった。 「たいして濡れてないし、水だし、もういいんじゃないの?」 そう女性の前でコーヒーを飲む男が顎髭を触る。 「失礼しちゃうわ」 高級なスーツに豪華なアクセサリー、濃いメイクに香水。 自分にも非があるとは全く考えもしない傲慢な女性に、目の前の男はため息を吐く。 「雅樹、もうこんな店いたくないわ」 「じゃあ帰れば」 冷たく言い放ってタバコに火を点ける男に、ウェイトレスと目の前の女性は動きを止めた。 「失礼します」 込み入った話になると察したウェイトレスが席をはずす。 .
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