髭の恋人 Ⅰ

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店長と2人出ていった雅樹さんを見送ったのが、さっきのウェイトレスであるアルバイトの私、瀬戸梓。 雅樹さんは私の顔を覚えてはいなかったけど、これが2人の最初の出会いだった。 それからというもの、言葉通り雅樹さんは毎日のようにそのオープンカフェに通うようになった。 後で聞いた話では、勤めている会社が近かったのも理由の1つ。 父親の経営する会社で働いてはいるけど、暇を見つけては抜け出し、立ち寄るのが日課になっていたらしい。 いつも一番奥の席でのんびりコーヒーとタバコを楽しむ。 時には女性を伴って、いつも違う女性だったりして。 「今日はおひとりですか?」 「まぁね」 雅樹さんとそんな会話をするようになるのにも、それほど時間はかからなかった。 「梓ちゃん、もう上がっていいわよ」 .
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