1510人が本棚に入れています
本棚に追加
「あんずの木です」
最近駅前にケーキと紅茶を出す、かなり高級なお店が出来ていた。
テレビや雑誌でも紹介されていて、行きたいとは思っていたけど高そうだし、学生の私ではなかなか行けずにいたお店だった。
「ご馳走しようと思ったんだけど……嫌なら仕方ない。1人で行ってくるよ」
横を歩いていた雅樹さんが歩調を速めて行ってしまった。
「ちょ、ちょっと……」
あんずの木なら話は別、急いで雅樹さんを追いかけた。
「男性1人じゃ入りづらいでしょ、仕方がないから付き合ってあげます」
横を歩いてついてくる私を面白そうにチラリと見て、雅樹さんは満足そうに歩き続けた。
「で、どうして私を誘って下さったんですか?」
「ん? 君、可愛いから」
.
最初のコメントを投稿しよう!