髭の恋人 Ⅱ

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嬉しそうな声が頭の上から聞こえる。 そうだ、抵抗しなきゃ。 「離して下さい」 雅樹さんの胸を力一杯押してその腕から逃れると、クスクス笑われてしまった。 「何がおかしいんですか!」 動揺のあまり喧嘩腰で見上げても全く威力はないらしく、更に笑われてしまう。 「本当に可愛いね。ますます欲しくなったよ。じゃあ、おやすみ」 また今日もあっさりと帰るらしい。 手を離すのを忘れたおかげで、抱き寄せられるなんてハプニングはあったけれど、わざわざ歩いて送ってくれたことには感謝しなくてはいけない。 「わざわざありがとうございました」 「どういたしまして。さぁ、中に入って。外にいたら心配で帰れないから」 .
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