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さっきまでのラブラブっぷりが嘘のように、かなりの勢いで喋り始めた。
「……はい」
素直に返事をするのが精一杯で、相づちを打つ暇もない。
遠藤が何を言うのかと慌てているけど、こういう時日本人は気後れしてしまって止められない。
裕子は酔っているせいか、ちょっと面白がっているし、女同士恋ばなでもしている感じなんだろう。
マリアは日本にまだ友達はいないだろうから、仲良くなってくれるのは良いんだけど……。
裕子が影響を受けて気が強くならないことを祈る。
* * * * * *
藤堂専務と一緒にニューヨークに降り立つと、秘書を任されることになっていたマリアが迎えに来ていた。
スーツ姿とは言っても、足が長いせいと大きな胸のせいで、やけに色っぽくみえて、専務に色仕掛けで迫るつもりだと勘違いした俺はSPさながらにマリアを遠ざけた。
しかし、そこでマリアも引き下がる女性ではなく、空港の到着ロビーで小一時間ほど言い合いが続く。
周りで人垣が出来ているのもお構いなしで、しかも藤堂専務なんて忘れてしまったような白熱ぶり。
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