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トレーに砂糖やミルクは乗っていない。
あるのはチョコレート。
既に専務の好みを把握していることに驚いた。
静かに専務室から出てきたマリアに、コーヒーを一口飲んでから視線を合わせる。
「コーヒーありがとう」
さっきまでいがみ合っていたから、何だか居心地が悪いんだけど、マリアは全く気にしていないようで。
「どういたしまして」
流暢な日本語で反してきた。
聞けば大学時代に日本に留学していたらしくて、日本語が上手いのにも納得。
話してみたら意外と悪くないなと思うようになった。
照れると髪を耳に懸ける仕草が何だか可愛くて、つい見とれてしまう。
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