彼らだって恋をする

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だからマリアが発した言葉の意味を、理解するのに時間がかかってしまった。 「だから、いいわよ。つきあってあげる」 訴えられなくて良かった……。 じゃなくて、本気で言ってるの? きょとんと見ていると、マリアが優しく微笑んだ。 「よろしく、あきひこ」 こうして俺とマリアの付き合いが始まった。 それからというもの、会社では良きライバルで仲間として、私情を一切挟まないマリアの姿勢に驚きつつ、お陰で専務や社長も2人の交際を認めてくれるようになった。 休みの日には、マリアの家族とバーベキューをしたり、マリアの兄貴と飲み明かしたり、このままニューヨークに残っても良いかもなんて思うようにもなっていた。 だけどやっぱりそうはいかなくて、ある日専務に呼び出された。 「遠藤くん、来週日本に帰りますが、大丈夫ですか?」 .
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