一番熱い夏

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『わかった。勝手なことしたら、あの人本当に煩いからね』 面白がっているようにしか聞こえない幸恵の言葉に、1年前一緒に働いていた頃を思い出して気持ちが弾む。 「じゃあ、後でね」 電話を切って、海翔さんに報告しようと駅への道を歩きながら電話を掛ける。 5コールしても出ないから、忙しいのかと切ろうとした途端にその人の声が聞こえた。 『もしもし』 「もしもし。海翔さん、ありさです」 『どうした? 何かあったのか?』 会社を出る時に会ったばかりなのに電話をしたせいで、妙な心配をかけてしまったようで……。 「そうじゃなくて、幸恵のうちに寄って帰ってもいいですか?」 幸恵の名前が出ると、一瞬海翔さんが眉間にシワを寄せるのが目に見えるようだ。 嫌がっているわけではないし、かなり信頼を寄せてはいるけど、幸恵にずいぶん遊ばれた記憶が脳裏に浮かんでいるのだろう。 .
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