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前の会社で、海翔さんをあそこまで弄っていたのは後にも先にも幸恵だけ。
藤堂ファミリー並みと言ってもいいくらいだった。
『古本の家?』
結婚したからもう古本じゃなくて佐伯さんなんだけど、海翔さんの中でも幸恵は古本のままで。
「はい、新居のほうです。ご主人も帰って来るでしょうし、あまり遅くならないうちに帰りますから」
『住所をメールして。後で迎えに行く』
「わかりました」
やっぱり迎えに来るんだ……と思いながらも、なんとかOKはもらえたということで、意気揚々と電車に乗り込んだ。
幸恵の家だって電車で一駅先だから、以前ほどではないけど意外と近いのに、やっぱり海翔さんは過保護だと思う。
心配してくれているのは嬉しいけど、残業して疲れている時にまで迎えの心配しなくていいのに。
そうやっていつも大事にしてくれる海翔さんが、やっぱり好きなんだけど。
1人電車の窓の外を流れる景色を眺めながら頬を緩める。
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