第二章【最強の能力者】

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第二章【最強の能力者】

『-毛氈の十怪とは― 学籍番号0010-0003 冷泉虎次郎』  数年前の戦争を止めたシンカーのなかでも最強だと謳われる十人組。  正式に徒党を組んだわけではなく、いつの間にか強力な連中同士が集まっただけであるという説が有力だとされている。  リーダーという存在が特になく、皆が好きなように組んで好きなように離れることを繰り返していた。  十怪の一番手である童女、四番手の少年、五番手のカニバリズム。  この三人だけは絶対に相手してはならないということは暗黙の了解である。  件の十人組は戦争の根源となった三神巌を倒すと、表舞台から姿を消した。  今頃どのようになっているか。それが明らかになっているのは五番手の鮎喰和人と七番手の獅子峰扇だけである。    彼らは姿を眩ましたあと、どこで何をしているのか。  どのような能力者であり、どのようなことを考えるシンカーだったのかを調べているうちに、私は毛氈の十怪のうち三番手の方とコンタクトを取ることに成功した。  この衝撃的な出会いと、彼から聞いた話を忘れてしまわないようにとペンを執った。  これが、この論文を書こうとした切欠である。 ――――――  あ、懐かしい……僕が書いた論文や。  確かめっちゃ凄いやんみたいなこと皆に言われて単位もうなぎ上りだったなあ。  ズルいことするんて、けっこう気持ちいいな。  はは……あははははは!  いやぁ、個人的にはズルより悪戯の気持ちが強かったなぁ。  教授とか僕に『三番目……どんな人?』って聞いてきたし。  もう大爆笑!
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