第二章【最強の能力者】

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【2】  間宮唯が冷静さを取り戻した頃には、スキンヘッドとサングラスの男は倒れていた。  勝負は終わったのだ。    脈はある。手当も終わった。  しばらく起き上がることはないだろう。  例え意識を取り戻したとしても、ここまで圧倒的な差を見せつけたら戦意はないに違いない。 「二人がもしも死んじゃったら、先輩を殺した人が使ったドグマを使わなきゃいけないところだった。あの能力、嫌いなんだよね」 「それは、ネクロフィリアのことかねぇ?」  この場から立ち去ろうとしていた直後のことだった。  背後から意識を失っているはずの男の声が聞こえたのだ。  これはサングラスをかけている方の声であろう。 「そんなに驚くんじゃないよ。オレの方が吃驚しちまうじゃないのさ」 「な……なんで、立っていられるの?」 「んー? それはねー。オレがこのサングラスかけたオッサンじゃないからさ。いわゆる中二病みたいな表現するけどさぁ。オレはこいつにパラサイトしてるもうひとつの人格だ。こいつの本名は名倉宗次っつーらしいけど、オレの名前は露久保仰山っていうから露久保って覚えておいてくれや」 「つゆ……くぼ……さん?」     振り向いた唯にサングラスの男が頷いて見せた。  先程までとはまったくキャラが違う。  何かに憑依されたかのような変貌ぶりだ。 「まあ、オレは色んなところから情報仕入れるからな。お前に起こった事情も知ってるわけだ。お仲間殺されて怒り狂った勢いで教師を幽閉しちまうなんて、えげつないことするねー。ねえ、ユイちゅわーん?」 「なんだか言葉が癇に障るのだけれど」 「おいおい、オレからこの喋り方どけたら何が残るんだぁ? そういうプチ人格否定は可能性を壊しちまうぜ」 
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