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サングラスの男が笑うと同時にスキンヘッドの男が立ち上がる。
そして、
「まあ、もし縁があったら遊びましょうや。オレのドグマと」
同じような口調でスキンヘッドの方が喋った。
クローンでも見ているような気分に陥る唯を、サングラスの男が指差し笑う。
「吃驚したかぁ? そうだよ、このハゲも露久保ちゃんだ」
「どういうこと!?」
「一言で説明するとドグマだ。教科書で習わなかったか? 過去にあったポルターガイストやら予言やらは……ぜーんぶドグマやシンカーの仕業だって」
どういうことと聞いて全てを教えるほど敵は甘くない。
知ってはいるものの聞く価値はある。
過去にそうやって朧月に教えられた。
だが、唯の技量では相手の能力を知ることはできないらしい。
あるいは相手が自分の能力を隠すことが上手いのだろうか。
いずれにせよ、露久保仰山が手練れだということは確かだ。
「無駄無駄、オレの能力は面倒くさいからな。まず、わからねえさ。ドグマってのは名前を知ってこそ全貌が見えるんもんだぜ。特別に、オレのドグマが唯ちゃんの能力みたいなコジツケだってことは教えといてやるよ。じゃあな」
二人の露久保は互いに背を向けて、唯の視界から姿を消した。
まったくもって不思議な男だと思う。
いや、人格の性別を決めてしまうのは早計だ。
もしかすると女だという可能性もある。
「露久保さんのいっていた情報。もし本当だったら、私は逃げた方がいいのかもね。でも、逃げたら逃げたで逆に見つけられそうだから……多分、この街でいた方がいいのかも」
独り呟きながら狭い路地を抜けると商店街に出た。
とりあえずここらあたりで姿を眩ませることにしよう。
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