第一章【邂逅】

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【1】  結論から言ってしまうと、朧月は間宮唯と再会した。  半年ぶりに見た少女はなにも変わらないように思えるが、ただひとつネジが外れてしまっているような印象があった。  何かを話をしたのだが内容は忘れた。  ただ、澄んだ声だったような気がする。 「ネジが外れたね……それはきっとコンバージョンだ。アウェイクン現象が流行する前に主流だったものだ。あ、アウェイクンっていうのは能力を覚醒させる現象だよ?」  孤児院のグラウンドで遊ぶ子供の姿を遠くで見守りながら日下部庵が言葉を放った。  明るいブラウンの髪と小生意気な表情。  この少年はシンカーらしいのだが、おそらく何かを支配するタイプの能力を使うのだろうと推測する。  しかし、日下部のドグマを長時間見たことがない以上、断定はし難い。  果たして、どのような異能を宿しているのかと考えているところに、 「コンバージョンは変化って意味だ。だけど本当は違う。間宮唯さんは変わってなんかいない。何かを犠牲にした結果、ドグマが変異しただけ」 「はぁ!?」  驚くべき真実を告げられて我に返った。  ユイが変わっていない、と日下部が告げたからだ。  能力自体が変わり果てていた。  モンシロチョウのようにパタパタと羽をはためかせていたオーラは、クロアゲハのように妖艶な舞を踊っていた。  そのクロアゲハが帯のように連なったかと思うと、それがフィルムへと姿を変えたのである。  ひとことで表現するとすれば奇妙な能力だったと言えよう。  ゆえに、朧月がユイに対して変わったというレッテルを貼り付けることは必然なのだ。 「唯さんは平和主義だって言ってたね。何を思って平和主義になったか、どのような理想を持っているかはわからないけれど、それを守るために何かを犠牲にしたんだ」 「ユイの理想を叶えるには平和主義が邪魔になっちまったってことか?」  朧月の問いに日下部が頷く。
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