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そうして、予想した通り、カルテロは瑠生と美衣を誘拐するような回りくどいやり方はせず、直接俺と鈴音を狙ってきた。
鈴音はニセのパソコンを用意して、逃げまどうようにカルテロをおびき寄せたが、それは更にカルテロの怒りに火を点ける結果になってしまった。
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私は、リビングのソファで8歳になる美衣の肩を抱き寄せながら目を閉じていた。美衣はそのまま眠ってしまったようだ。瑠生はスティーブが教えたサックスを持ってきて、不安を隠すようにサックスを吹いている。
私はそんな瑠生の手を引き寄せると、その瞳を見つめて微笑んだ。
「瑠生。匠のこと、好き?」
「うん。大好きだよ」
「じゃ、いつか、匠のお嫁さんになりたい?」
「なる。匠のお嫁さんになって、ずっと一緒にいる!」
本気の眼差しで瑠生が言うと、私は瑠生をギュッと抱きしめた。
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