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「何かあったら、匠の言うこと、ちゃんと守ってね」
「ママ?」
「瑠生と美衣がどんな人生を歩もうと、私はあなたの味方よ。瑠生。幸せになってね」
瑠生は、昔から勘のいい子だ。何か感じて私の顔をマジマジと見つめている。
「あたしも、ダディとママ、大好きだよ」
瑠生はそう言ってサックスを置いて、私に抱きついてきた。私は、この大切な瑠生と美衣を、どうしても守りたいと思った。私がアメリカに来た理由が、スティーブと出逢って、家族を持つことだったなら、私はその未来を守りたい。
あの頃は、守りたいものなんてなかった。
今では、家族と、匠のことも守らなきゃいけない。
そのためなら、自分の身なんて、どうなっても構わない。
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