第10章 未来へ

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2階にある部屋のドアは全部閉ざされている。罠がしかけられているとしか思えない。 「鈴音、離れるなよ」 スティーブが言うと、私はしっかりと頷いた。匠は目だけを動かして、この建物全体の気配を感じ取ろうとしているのが、私にもわかった。 「…上に誰か…いる」 匠が言うと、スティーブは舌打ちして、 「あいつは俺たちを待ってるんだ!決着をつけるために!」 と言って階段を駆けあがっていくと、匠が眉をしかめて、 「待てよ、ボス!罠かもしれないんだから!」 と言ってスティーブを追いかけて階段を駆け上がっていった。私も2人の後をつけていこうと階段を二段ほど上がってから、微かに、誰かの声が聞こえてきた。 泣き声? 子供? 女の子? まさか、また瑠生を?それとも、美衣?! 私は声の方を聞き取ろうと耳を澄ませると、声はどうやらこの階からだ。
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