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また、カルテロに逃げられる!!
わたしはそう思いながらも、腕の激痛にその場で膝をついて倒れそうになった。煙に巻かれながら、わたしの腕を掴むカルテロが、やっくりと離れると、私は悔しくて涙が出そうになった。
「ゴホッゴホッ」
とスティーブもむせている。すっかり煙で何も見えない中、何処かの部屋が爆発するような音と地響きがして、視界が遮られている分、恐怖に怯えた。
「鈴音!」
スティーブが這うようにして近づいて私の肩を掴むと、私は驚いて振り向いた。
「スティーブ!」
白く煙る中で、スティーブの黒い肌の顔が見えて、この時ほどスティーブが黒人で良かったと思ったことはなかった。
爆音の中で、誰かの叫び声や怒鳴り声が聞こえてくる。すると、銃声が2発、響き渡った。この部屋ではない。廊下のほうからだ。
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