第10章 未来へ

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おふくろを庇うようにして、親父が立っている。殴られたのか、額に痣もある。 俺は居間にいる男たちを睨みつけて、一番近くにいる男を殴り飛ばした。鈴音は腕を押さえながら、 「その子たちを離しなさいよ!!」 と怒鳴っている。すると、瑠生を抱いていた男がニヤリと笑い、窓を全開して、瑠生を突き落とそうと上半身を窓枠から外に出した。俺はそいつを迂闊に殴り飛ばすことも出来ず、鈴音も一歩踏みとどまると、 「そこで見てるがいい!」 と男が叫んで、瑠生をとうとう突き落とした。鈴音は悲鳴を上げて頭を抱え、俺も思わず窓に駆け出すと、窓の真下を覗き込んだ。 「瑠生!!」 「!!」 真下には、匠が瑠生を抱きながら、俺を見て、 「大丈夫だ!!」 と叫ぶと、鈴音もその声が聞こえたようで、ホッとしたと同時に涙が溢れてきた。
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