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電話を切ると、俺と鈴音は顔を見合わせた。
鈴音は、何も言わない。
でも、きっと同じ考えだろう。
「リバティーの方の倉庫のある埠頭のほうか?よし、すぐ行こう!」
匠が身を乗り出して言うと、俺はまたアクセルを踏み込んで車を発進させた。
マンハッタンを突き抜けるように走りながら、俺は目線だけで辺りを見渡した。
追っ手が減っている。
電話で話して、俺たちが逃げることはないと踏んだのか…。
ガソリンスタンドを曲がったあたりで、ヘリコプターからは見えないアーケイドがある場所に車を止めた。
「ボス?どうしたんだ?」
匠が尋ねると、俺より先に鈴音が振り向いて匠を見た。
「匠。あなたは、ここで、降りなさい」
「えっ」
「匠。あとは、私とスティーブに任せて」
鈴音はそう言って、穏やかに微笑んだ。
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