第10章 未来へ

20/26
前へ
/211ページ
次へ
俺も、ハンドルに肘をかけながら、振り向いて匠を見た。 「匠。あとは、お前に任せる」 「ボスまで??なんでそんなこと言うんだ?!」 匠は身を乗り出して俺の肩を掴んでくる。 「俺たちが全員やられたら、瑠生と美衣はどうする?」 「それは…!」 「匠。こうしてる時でも、いくらダグラスたちが匿ってくれてても、瑠生たちが危ない。匠。あなたには瑠生たちのそばにいてあげてほしいの」 「ふざけるな!!あんたたちと離れない!俺も一緒に行く!!」 匠の肩が僅かに震えている。俺はまた鈴音と顔を見合わせて微笑むと、同時に匠を見つめた。 「瑠生を頼むよ」 「瑠生を。幸せにしてあげてね」 俺と鈴音がそう言うと、匠はポロっと涙を頬に零して、悔しそうに泣き出した。 「生きて、…帰ってきてくれよ!!あんたたちは、俺の………!」 その先は、もう言わなくても分かるよ。 俺たちは、家族だ。 匠。 ありがとう。
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!

128人が本棚に入れています
本棚に追加