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「…スティ…」
鈴音は、血を吐いてゆっくりと辛そうに目を閉じた。俺は思わずカッとして、鈴音の手から銃を奪い、発砲した車の窓を目掛けて、弾を全部使い切るほど、引き金を引いた。運転手、助手席にいた男たちが頭から血を噴き出して息絶えているのは、見えた。が、そこにはカルテロの姿はなかった。
謀られたか…!
俺は片手を伸ばして鈴音の肩を抱き寄せると、鈴音は俺の胸に頬を寄せてうっすらと目を開けた。
「カルテロ、やれなかった。すまない、鈴音…!」
俺は涙ぐんでそう言うと、鈴音は苦しそうに瞼をうっすらと開けて、俺を見上げた。
「…もう、いいわ。やれるだけのことはやった。あとは、匠に託しましょう」
「鈴音…」
「スティーブと一緒なら、いい。あなたと一緒に戦えた。ニューヨークでいろんなものに出会えたわ。スティーブ。あなたを愛して、良かった…」
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