第1話

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次の日、机の上のそれを見たサクラが満面の笑みになったのには驚いた。 こんなもんで気分が良くなるとか子供みたいだなとも思ったが、それをつくっているのが自分だと思うと、あいつを笑える立場でもないことに気付いてため息が出た。 その日からこそこそと嘘んこの花びらを机の上に落とし続ける日々がはじまった。 これが恋愛感情なのかどうかわからない。 そんな感情は持ってはいけないような気がした。 でもいつも世の中から除け者の自分にとっては、何かを求められていることが存在を許されていることのように思えて、この瞬間が心地よかった。 そのほかの時間はおまけではないかと思うほどに。 ※ いつの間にかあたりは暗くなっていた 暗い教室に、同じようにくらい顔をした自分が1人立っているだけだった。 この花びらを見て笑うサクラを、明日からもう見れない。 ちゃんと明日も笑ってくれるだろうか? ただ、もうそれを確認するすべもない。
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