第1話

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内向的な性格が災いしていた。 学校でも家でも病院でも、何も上手く行かない。ここも結局逃げ場じゃなかった。 ただ一人苦痛に耐える日々。 しだいにぶり返してくる体調不良に、一週間先の未来も見れない、というか見たく無い状況だった。 自分の病気が発覚したのは小学校5年生の時。 遺伝性がある、国が指定する難病。 何の支障もなく天寿を全うできる人もいるが、この病気に罹ったほとんどの人が短い寿命の大半を入院に費やすような人生が待っている。 基本的に体が弱く、些細なことで命を落とす危険性があるとのことだった。 母方からの遺伝だった。 母はわかっていたらしいが俺の病気がわかるまでずっと黙っていたらしい。 父はそれがわかって以来、あまり家に帰って来なくなった。
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