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一応、俺がいない時にクラス全員に俺の病気の事に軽く話はされたらしいが、サクラは部活の公欠で丁度そのときいなかったらしい。
自分の知らない世界を見つけて、俺を見つめる目が爛々と輝いていたのを今でも思い出す。
いつもこうだ。初対面の人間と話すときはこういう説明が必要になるのはわかっていたけど、やっぱり気が重かった。
普通なら、俺や周囲の気配を察して質問者が話題を変えるのが常だった。
ただサクラは違がった。
二人の同級生の心配をよそにズバズバと俺に無遠慮な質問をしてくる。
「入院食てどう?」「院内学校って?」「夜中、脱走したことは?」
ハラハラする二人を横目にサクラは問い、俺は聞かれた通りに問いかけに答えた。
正直、嫌なら止められた会話だった。
でもそうしなかったのは、その無神経さが心地よかったからかもしれない。
いつも敬遠される存在だった自分。
でもサクラと話していると、自分はここに居てもいいような気がした。
気付くと、授業が終わりそうな時間になっていた。
質問攻めで、そろそろサクラは極め付けの質問をしてきた。
「で、治るんでしょ?」
その言葉に、同級生二人が固まるのがわかった。
この病気に罹って平常に生きられる患者はほんの一握りしかいない。それを知っているせいだった。
でもここで黙ってたら、きっとどちらかが正しいことを説明し出すかもしれない。
だからとっさに言った。
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