重い瞼を開けてみよう。

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   カーテンを開けたら、そこに彼女がいる。  それだけで口では言えない場所が反応しそうになってしまって、軽く自己嫌悪に陥った。声と気配だけでこんなに反応するなら、去年のうちにしてろよ、とか思いながら。 「おい、隣のベッド使用中だからな。騒がしくすんな」  落ち着いた額田先生の声で、このひとすごいな、と思った。  愛美さんはマジで、と小さく言って立ち上がった。たぶん額田先生の机の方に行ったんだろうけど。  深く、ゆっくりと息をつきながら布団を頭までかぶった。  ……昨日あれだけ流華さんのことで胸を痛めていたくせに、やっぱり愛美さんにもこうして胸が痛くなるどうしようもない自分を誰か助けて……なんてことを思いながら。 .
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