重い瞼を開けてみよう。

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「は、参った参った」  やがて佐奈さんがやって来て、愛美さんと一緒に一足先に駐車場の方へと行ってしまった。面倒くさそうな様子で、額田先生はカーテンを開ける。  俺の顔を見るなり、額田先生は苦笑した。 「どうして、愛美さんから俺を隠したんです?」 「へ?」 「……俺、愛美さんと顔を合わせるのを避けてるとか、額田先生にそんなこと言った覚えないですけど」  確かに、別れたカップルがこんなところで鉢合わせ、というのはあまり楽しい出来事じゃない。  けど額田先生が俺の……というか、他人のそういう事情にそう深く関心があるとは思えない。むしろ、気まずそうにする俺と愛美さんを、ニヤニヤ笑いながら眺めていそうなものだけど。  すると、額田先生は溜め息をつきながら肩を竦める。 「そんなもん聞かなくても、判る。この間、文化祭での蓮見の態度なんかで、何となくな」 「この間?」 「蓮見はお前を入れずにそのまま外に連れ出しただろ。だから、何となくだよ」  額田先生は本当に、よく見ている。  もしかしたら、流華さんからそういう話を聞いたことがあったのかも知れない。俺と愛美さんがばったり会うのは嫌だ、とか。 .
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