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放課後、自転車置き場で風を避けながら西川さんを待っていた。
教室で長倉さん達との話が盛り上がっていたようだから、そうしたんだけど。ここで待ってるね、なんて約束をしたわけじゃない。
果たして彼女がちゃんと俺の居場所を探し当てられるのかどうか。まあ、もう寄る場所がないからできる遊びみたいなものだ。
自転車置き場の屋根から覗く、灰色がかった青空を見上げる。
空の高いところに、竹ぼうきで砂を引きずったあとのような雲が、ものすごい速さで流れていくのが見えた。
ああいう雲って、次の日の天気が崩れるんだっけ。科学の教科書にそんなことが書いてあったような気がする。
雨の日くらいは電車かな、なんて考えながら時間を持て余し、携帯を開いた。その瞬間、ふっとあることを思い出して、そのままアドレス帳を開く。
確かめるのはもちろん、“流華さん”。
開いた途端、急に懐かしい感覚にとらわれて、思わず溜め息を漏らした。
ありがちだけど、流華さんのアドレスと番号は指定着信にしていた。
そして、着信の時には彼女から貰った写メが表示されるようにもしていた。
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