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昼休み、斉木と屋上に来た。
2人で寒い寒いと言いながら、やっぱり人気のない場所が恋しくてやってきた。
雨の日と冬場にここに来る人間はあまりいない。
冬空そのものと言っていいような灰色がかった青空を見上げながら、俺は自分の白い息を確認した。上着を引っ掛けてきたものの、前を開いたままにしているから寒い。
2人同時にぶるっと震えて、苦笑した。
「お前、最近元気ないよ。どうした?」
鼻をすすりながら、斉木は相変わらずの身長差で俺を見下ろす。
俺の背が伸びたとはいえ、185センチある斉木はそれでも全てを見下ろせる。これで体格がもう少しよければ体育会系の部活の勧誘で引っ張りだこになっただろう。
しかし残念ながら斉木は突けば折れそうで、しかも口を開けばバカだ。勧誘の類は入学してから1ケ月もしないうちに来なくなってしまった。そんなことを思い出しつつ、俺はふっと笑った。
「別に、そんなことないけど」
「いや、また自転車で来るようになってから、なんかおかしい」
自転車と言われることに何となく抵抗を感じながら、やっぱり訂正するのは面倒でやめておいた。
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