【第二章 Guilty】Prologue

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   ふぁ……とあくびがひとつ出た。  制服を着ながら、今日はずいぶんと早起きをしてしまったな……と息をつく。  理由は、たまに見る明け方の夢だった。  目が覚めると、途端に記憶の中から薄らいでいく風景。  いつ、どこのものだっただろう。  こうして何度も何度も夢に見るんだから、気になって仕方がなかった。  ──あれは誰だっけ……って思うのは、何故なんだろう。  考えても、記憶にないんだから思い出せるはずもない。また、溜め息が漏れる。  真冬の間は、ブラインドでなくカーテンにしているから、外の寒さはよく判らない。  そっとカーテンを開けると、凍るような冷気が窓ガラスから伝わってきた。  ぶるっと身を竦めて、カバンを手に取る。  長いようで、あっという間の高校生活。それも、あと少しで終わりだ。  大学受験は高校受験のときほどのプレッシャーはなかった。  受験だからって特に頑張ろうなんて思ってなかったし、志望校は普段の努力のままで問題ないという担任のありがたい言葉もあったことだし。 .
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