【第二章 Guilty】Prologue

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   ここ数ヶ月をそうして振り返りながら、優等生が板についている自分は可愛げのない高校生だな……と自分で思った。  失敗や挫折は嫌いだ。  それが、普段怠けていたせいだなんてのが理由だったら、目も当てられない。  そういう発想の動機は自分のプライドだから、厄介だ……。  コートとマフラーを身に着け、玄関を出る。パタパタと尻尾を振るアンの頭をひと撫でして、ロードレーサーを出した。  毎日毎日繰り返していたことが、もう少ししたら違うものになる。  それも、慣れてしまえばいつかはまた繰り返す日々になっていくんだろうけど──俺の胸の中に、少しだけ期待がよぎる。  可愛げのない自分の中にも、まだそうして未来に期待する部分がある。  それがどれほど安心できることか──なんて。  あまり人には、言えないけどね。 .
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