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友達のこと(たぶん内容のほとんどは坂田さんのことだと思った)、何気なく放った言葉でお母さんを傷付けて泣かせてしまったこと、制服デートに憧れていたのにとうとう彼女ができなかったこと。
それを担任の島木先生に何気なく愚痴ったら、何故か先生と一緒に泣いてしまったこと。
そう特別なものではなかった気がする。
どれもこれも、斉木さん節が出ていてちょっと面白かったけど、普通のことばかりだった。
だけど、途中から斉木さんは読みながら泣き始めてしまったのだった。
最初は何泣いてるんだよ、なんて野次が飛んだりもしたけど、素直な内容に女子達がもらい泣きを始めたらしく、あちこちから鼻をすする音がし始めて。
しんみりと、いい雰囲気になったのだった。
今年の卒業式はさすがに忘れないだろうな、と思った。
……坂田さんの鎖骨、近くで見たかったな……。
うっかりそんなことを考えてしまって、学校の廊下で何考えてるんだろう、とかぶりを振る。
すると、パタパタと追いかけてくる足音がして、あたしは振り返った。
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