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「面白い卒業式だったよねー」
体育館から教室に戻りながら、みんなは口々に今の卒業式のことを話していた。
卒業証書の授与が終わったら、収の送辞が読まれた。
死ぬ程練習を繰り返したという収の送辞は、さすがとしか言いようがなかった。
そして、卒業生の答辞──。
壇上に上がったのは、坂田さんと一緒にいた、背の高い人だった。
3年生で特に目立つ人が誰だったか、なんてあたしにはよく判らない。
だけど、坂田さんのお友達の斉木さん。壇上の斉木さんを見ているうち、どうして彼が答辞に選ばれたのかが判る気がした。
ああいう壇上でのことに慣れていないのであろうことは、背中を丸めてちょこちょこと動くその仕種でよく判った。
“僕がこの学校を選んだ理由は”という何気ない出だしも、いきなり「ボキが」と噛んでしまっていたし。
クスクスと小さく響く笑い声にカーッと顔を赤くしながらも、斉木さんはたどたどしくも一生懸命、答辞を読み上げていた。
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