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だけど収の言っていた通り、確かに髪と肌はツヤツヤだ。どんなシャンプーを使っているのか、すごく気になってしまう。
それに、くるくる動く目が印象的。まるで小動物系。
……これは、収じゃなくても可愛いと思うに違いない。
そう思った瞬間、あたしはハッと顔を上げた。坂田さんが、ポカンとした顔で“ちいちゃん”を見つめている。
ガン、と後頭部を殴られたような衝撃が走った……気がした。
気がしただけだ。
精神的ダメージというのはこういうものだろうか、と泣きそうになりながら坂田さんから顔を背けた。
すると、あたしの動作を追うように、坂田さんが肩をトントン、と叩いてくる。
不意に耳元に顔が寄せられて、あたしは口唇を噛み締めながらビクッと反応してしまった。
坂田さんはごめん、とまた小さく呟いて、もう一度顔を寄せてくる。
「何、あの子」
「……生徒会役員の子ですよ。収の後輩……らしいです」
見たことも聞いたこともありません、と坂田さんの疑問を投げ捨てて、この場からいなくなってやろうかな、なんて思ったんだけど。
坂田さんの口から出てきたのは、意外な一言だった。
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