深く落ちる響き

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  半額チケットをくれたという人がバイトに入っているのをいいことに、収は大部屋をひとつ取るのではなく、中部屋をふたつ取る、という暴挙に出た。  収いわく「どうせ値段は同じだし、平日の昼間だから満室にはならないだろうし、回転率が上がるし、どちらにとってもいいことだ」ということらしいけど。  収の知り合いのバイト店員さんが、一瞬だけ顔を引き攣らせたのをあたしは見逃さなかった。 「だってさー、大部屋ひとつでもいいけど、そしたらなかなか回ってこないじゃん」  本当は3部屋取りたかったくらい、とブツブツ言っている収を見て、あたしは正気かと疑った。  だけど生徒会の連中は収のこうした暴挙には慣れているらしく、普通に笑っている。 「会長、いつもこんな調子で先生に無茶言うから、面白いんですよー」  きゃらきゃらと笑いながら、ちいちゃんはあたしに笑いかけた。ちいちゃんとは、さっき自己紹介し合ったところだ。  ちいちゃんは、ひと目であたしが収の幼なじみだと判ったらしい。いつもお話伺ってます、と礼儀正しく挨拶をしてくれた。 .
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