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「い、言わないで下さい! 特に、会長には、絶対!」
……可愛い。
思わずこのまま連れて帰ってしまいたいくらい……というのは冗談だけど、収が“ちいちゃんが好き”と言うのを納得できてしまった。
でも、既に相思相愛というのは羨ましい。
面白いからどっちかに教えてあげようか、なんて悪戯心も湧いてくるんだけど、それはよけいなお世話ってもんだと思う。
「言わないよ。頑張れ。応援してる」
「ほ、ホントですか……」
潤んだ目じりを軽く拭うと、ちいちゃんは俯いた。
「私、会長にトロい子って思われてて……。今日だって、会長の前でごはん食べるなんて恥ずかしくてできなくて、だから教室で食べてきちゃったんです。そしたらやっぱり、皆さんお待たせしちゃって……」
声のボリュームを落としながら、化粧室を出た。
「ごはん食べるの、恥ずかしいの?」
ちいちゃんの一言が気になって訊き返すと、彼女は深く頷いた。
「ダメなんです。家族とか友達の前では平気なんですけど、会長の前だとどうしても……」
……それ、さっきのあたしと同じなんじゃないだろうか……。
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