深く落ちる響き

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   その光景を見るなり、ぱちぱち……と何度も瞬きを繰り返した。  明日以降の予定をさらった後終礼を済ませて、あたしは収のカバンを確認してから教室を出た。  収に何か頼まれて生徒会室へ行くのは、初めてじゃない。  行き慣れてない場所に対して気後れする、という感覚も全然なかった。  だからあたしは、何の気なしに「失礼しまーす」と言いながら引き戸を開けた。  ──するとそこに、生徒会メンバーに混じって、なぜか坂田さん。  何度も瞬きをして、その状況を確認する。一番奥にいた収が「サンキュ」と言いながら立ち上がった。 「陽香、時間ある?」 「え?」 「今、昼メシの買い出しのついでにお前の紅茶も頼んだんだよ。後輩に。食べて帰ったら」  ちら……と収の隣に座っている坂田さんの顔を見る。  すると彼は、卒業証書の入った筒を手の中で弄びながら、小さくあくびをしていた。  ネクタイがきちんと締められているのを見て、鎖骨……と少し残念な気持ちになる。  人知れず恥じ入って、あたしは無言で頷いた。 .
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