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初めて会ったときから、こうだった。
織部陽香は、そこらの女の子なら簡単にスルーしてしまうところで、妙に恥ずかしがる。
その羞恥心のありかが、妙に面白い。
ふと、2年間同じクラスだった、長倉さんという女の子を思い浮かべてみた。まあ、長倉さんは普通より少し……いや、だいぶ図々しいところがあるとは思うけど。
そして、今日斉木をあっさり振った、西川さんというおとなしい女の子。
長倉さんの親友だ。俺の中の“女の子の両極”の簡単なサンプルはその2人なんだけど、この織部陽香はどちらにも分類されない子だと思う。
おとなしいかと思えば、受け答えははっきりできるし、はっきりしてるのかと思えば、急にこうして頬を赤く染める。
いじめたい、なんていう単純な衝動とか欲望には程遠いんだけど、ちらちら見え隠れる彼女の羞恥心の正体に、好奇心が刺激されるような。
今まで付き合った女の人に感じたみたいな、心臓が痛くなるような衝動とは、また違うんだけど。
「す、すみません。こんなとこ見られたの初めて……」
「いや、こっちこそごめん。なんか、癖で」
「……癖、なんですか?」
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