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ぱちぱち、と織部陽香の天然の長い睫毛が動く。こうして近くで見ると、綺麗な女の子だな、と思う。
化粧っけがあまりないから、地味に見えるけど。
女の子の綺麗さ、っていうのは本来こういうものなんだろうな、っていう見本みたいな。
すごく年上の男にウケる子なんじゃないかな……と考えてから、この子には歳の離れたお兄さんがいるという話を思い出した。
納得が胸にすとんと落ちる。
「高校に入ってしばらくしてから、急に背が伸びちゃって。ほら、今まで見えなかったものが見えるようになると新鮮だろ? だから、つい」
「ああ、そっか……背が高いと、そういうことがあるんですね」
「まあ、斉木ほどじゃないけど」
肩を竦めると、織部陽香は安心したようにくすくすと笑った。さっきの赤い顔が、もうだいぶ落ち着いている。
しかし、こんなふうに赤面が癖になっているような女の子って、誤解されやすいんじゃないだろうか。
羞恥心、っていうのは自分だけの問題だ。自分が恥ずかしいと思わなければ、どんなことも大したことはない。
だけどそれに抗えない上、顔に出るというのは弱点を晒しているようなもので──という心配をするのは、俺くらいなんだろうけど。
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